気づきにくい病気、糖尿病
こんにちは!
院長の櫻井です。
今回は糖尿病についてお話したいと思います。
最初は少し小難しい話ですが、大事なことなので書いておきます。
通常、体に取り込まれた糖質は分解されてブドウ糖になり、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きにより血液中から全身の細胞に取り込まれて、主なエネルギー源として利用されます。糖尿病は、このインスリンの作用が十分でないため、血液中のブドウ糖が有効に使われず、血糖値が高い状態が持続していることを言います。
糖尿病の原因は大まかに以下の2つに分けられます。
①インスリンを作る膵臓が何らかの原因によって破壊され、インスリンが作られなくなることにより糖尿病になる。
②インスリンは分泌されているが、肥満や他の疾患によりインスリンの働きが悪くなることにより糖尿病になる。
①の場合はインスリンの注射による治療が必要ですが、②の場合はインスリンが効きづらい原因が解決すればインスリンの注射による治療が必要なくなる場合もあります。
糖尿病の主な症状は多飲多尿、多食、体重減少などです。初期の糖尿病は一見元気で食欲もあるので、病気として捉えられないことがよくあります。そして高血糖状態が長期間続くことで元気・食欲がなくなり、ご家族の方が「これはおかしいな」と思い、動物病院に来院するため、僕らは病状の進行した糖尿病に遭遇することが多くあります。重度の糖尿病はケトアシドーシスという命に関わる状態になっていることが多く、集中治療のために入院が必要となってしまいます。
手遅れにならないように、病気の早期発見・早期治療を目的とした健康診断や、飼い主さんが病気を知ることがとても重要になります。
糖尿病の場合、早い段階で来院するきっかけとしては、異常に水を飲む、よく食べて元気だけど痩せている、といったところでしょうか。
糖尿病治療の目標は「良好な血糖値を保ち、合併症を予防すること」です。
そのためには
・インスリン療法
・適度な運動
・適切な質と量の食餌
が必要になります!!
しかも決められたタイミングでインスリン注射やフードを与えないと血糖値のコントロールがうまくいかなくなってしまうため、糖尿病を治療している動物を飼っているご家族の方々のしっかりした管理が必要になります!
お母さんがしっかりご飯の量を計ってあげているのに、かわいそうだから、欲しがるからといっておばあちゃんがこっそりおやつをあげている…そんなケースがよくあります^^;
おそらく糖尿病治療で一番のキモは「ご家族の糖尿病に対する理解と意志の統一」かもしれません。もちろん併発疾患の有無や動物の一般状態にもよりますが、糖尿病の治療にご家族の協力は必要不可欠ですので、僕ら動物病院とも力を合わせて、糖尿病の良好なコントロールを目指しましょう。